「先生」
先生が詩集を貸して下さって
「詩を学びなさい 詩ほど美しい
空間をつくれるものはありません」
そうわたしに耳うちして下さったのは
わたしは十五才で
現実より夢のほうがはるかに
勝っていた春でした
先生は言葉の空白のように
美しい沈黙を持っていらして
わたしはお話になる先生よりも
花のように黙っておられる
先生が好きでした
今でも詩の一行目には
先生の沈黙が降りてきます
「ここは神様のお書きになるところ・・・」
と 一行目の行間を
先生は占領していらっしゃいます
「詩とメルヘン」掲載作品
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