2012年6月28日

柴田健一さん


「人、大好き」という柴田健一さんの詩集
高校時代から現在まで、50年以上も
詩を書きつづけてこられたそうです。
16歳のときの作品から、64歳までの作品が、
一冊の詩集に。

30代のときに、奥さまが用立ててくださった、
詩集のための30万円は、ギャンブルに。
40代のときに、お母さまが貸してくださった、
詩集のための50万円も、ギャンブルに
消えてしまったと。三度目の正直で、
できあかった今回の詩集だそうです。

産経新聞「朝の詩」、「詩とファンタジー」の
掲載作品も含まれています。ギャンブラーの
文学青年の柴田さんを、支えてくださった、
奥さま、お母さまも作品に登場して、
柴田さんの人生と詩を、明るくしています。

柴田健一さんのお母さまは、柴田トヨさん。
手先の不自由な90代のお母さまの、詩の代筆を
健一さんがされて、お母さまのトヨさん、
暖かい詩で瞬く間にスターに。

健一さんの詩も、くすくすっと笑ったり、
しんみりしながらこころに入ってくる詩です。

2012年6月27日

話(「うたつかい」)

手作りの小冊子がすきです。お友だちに
いただいた「うたつかい」。5月号は
104名の方々の短歌が読めます。

この歌いいなぁ、このひといいなぁ、に
出会うのがたのしみ。寝ころびながら
読むにも、冊子はだいすき。

漆黒のブラックホールの夜だから君と消えてもただの現象
東徹也

数年来の冷気のこもる谷底で自殺を図る木霊が僕だ
酒井景二朗

「星くず朗読会」のゲストで朗読して
いただいた東さん、酒井さんの短歌も。

たいせつなことをぼかして黒板は正しいことを書きなぐる場所
田中ましろ

先日お会いした田中さんの短歌も。
そしてわたしのお気に入り。

かなしみは僕らがすべて引き受ける桜の花は上に散らない
木下龍也

テーマ詠もあり、相聞歌もあり、わたしは
紙をめくって読むとほっとします。

2012年6月26日

話(「田中ましろさん」)

待ち合わせは、渋谷のハチ公、それも尻尾の辺り。
わぁ…なんてわかりやすい場所の、
指定でしょう!わかる場所の限られている
わたしでも、だいじょうぶ。その日が
雨でなくて、ほんとうによかったです。

娘の歌集の中での、わたしのイメージは、
なんにもできない"母"だったようですが、
そうでもないって、少しは思って
くださったみたい。

お会いしたのは、田中ましろさん。
短歌を読み、詩や文章を書き、写真を撮り、
うたらば」というコンパクトな
短歌冊子(フリーペーパー)を
作られています。

短歌は、もっと、自由になれる。冊子は
そんなひとことから、はじまっています。
本屋さんの歌集のコーナーで、一冊を
求めなくても、お店のどこかに、さりげなく
置かれていて、どうぞっていう、やさしい
冊子もすてきですね。

東京では、いろんな短歌イベントがあって
いいですねぇと田中さん。あら、大阪から
さっと飛んでこられる、身と心の軽やかさも、
いいですねってわたし。

ことばの大好きな田中さんと、お話しして、
ことば発信のエネルギーを、短時間で
いただきました。お仕事の合間のひとときを、
どうもありがとうございました。

2012年6月25日

寺山修司











東中野の「新宿梁山泊」アトリエの
「芝居砦・満点星」で「Project Nyx」の
かもめ 或いは寺山修司の少女論」を
観てきました。桟敷席で、どきどきしながら。
寺山修司の原作に、構成・美術は宇野亜喜良さん。

宇野さんは、寺山さんとはかつてお仕事を
たくさんされていました。詩集をはじめ
本も、舞台も一緒につくられていました。

寺山さんの少女像を、宇野さんが現代の少女に
つなげています、宇野さん、少女を
描き続けています。

舞台では、寺山修司名言集のなかから、
いくつも忘れられなくなることばの
朗読があります。

ぼくが死んでも 歌などうたわず
いつものようにドアを半分あけといてくれ
そこから 青い海が見えるように

宇野さんの少女は、どちらかというと
目と目の間隔が少し離れて、いつも遠くを
みています。そう、海をみている瞳です。

秋には、原作:寺山修司、構成・美術:
宇野亜喜良で「上海異人娼館」
愛とエロスの世界が楽しめるそうです。








いっしょに観に行ったおともだちの裕ちゃん

2012年6月19日

松永禎郎さん


今年の冬に、お亡くなりになられた松永禎郎さん。
詩とメルヘン」から「詩とファンタジー」に
わたって、毎号イラストレーションを、
描き続けてくださいました。

いまも、たくさんの松永さんファンが
いらっしゃいます。「詩とファンタジー」
次の夏の号では、松永さんの1枚の絵に
詩の応募をおねがいしました。

たくさんの応募作品が集まりました。
絵の説明にならないような、素敵な詩を
選ぶまえに…松永さんの奥様と、
絵のこと、松永さんのお人柄、
デザインもご自身でされていたことなど、
お話を伺いました。

松永さんと奥様は、おふたりが放送局に
お勤めしていた時に出会ったこと、
松永さんは、とても恥ずかしがりやで、
自分の絵の前に立つことなんてできないと、
ほとんど個展をお断りしてきたこと。

どの絵が最後になってもいいように、1枚1枚
とても丁寧に心をこめて描かれていたそうです。

次号、どんな詩が松永さんの絵に寄り添うのか、
どうぞおたのしみにしてください。

2012年6月18日

田沢千草さん








トムズボックス」のお隣のお店が、とても
開放的な「トムズブックス+ギャラリー」に
なりました。田沢千草さんの個展
山の女、水の女」の最終日に
間に合いました。

雑誌「MOE」で、マトリョーシカシリーズの
絵とお話を読んでいましたので、あっ…
あの方だとすぐにわかりそうですが、
今回の絵は、またがらりと違う雰囲気で。

ご本人の田沢さんも、おっしゃっていました。
自分のなかの、光と影の両方を描いていますと。
絵をみていると、入口のベンチにエレガントに
座っていた田沢さん、さっといらして
くださって、お話を。

ご自身で「小話伽話」という冊子をつくって
いらっしゃいます。見開き左ページに絵、
右ページはお話。ひとつひとつが短くて、
ひとつひとつが詩のようです。第1巻、第2巻、
疲れた日にもちょうどいい分量の絵と文字。
今夜ゆっくり、たのしみますね。

2012年6月13日

星くず朗読会 シリーズ9


東徹也さんをゲストにお迎えしての
朗読会に、いらしてくださったみなさま、
ほんとうにどうもありがとうございました。

東さんが短歌を低音で朗読、とても
落ち着かれて、そしてとても魅力的でした。
東さんから飛び出す"カタカナ"のことばに、
反応しながら、詩を書いてゆくこと、
わたしもとても楽しかったです。

"コピーライター"としての東さんのお話も、
みなさんの胸に届いたようで、
うれしかったです。

日々、歌を詠まれる東さん、またいつか、
「星くず朗読会」にいらしてくださいね。

今回も、音楽はひげ☆ぼうずさんが選曲、
世界各地の男女のデュエットを、
心地よく流してくださって、
どうもありがとうございました。

2012年6月12日

話(「メトロノーム」)

通院している病院が荻窪なので、むかしながらの
小路が残る荻窪のその辺りを、ときどき歩きます。
イギリスのアンティークを置いているお店、
ウィンドウから目に入ったのは、こちらの
メトロノーム。

我が家のメトロノームは趣のないプラスチック製
でしたが、ピアノの先生のお宅では、こんな
木製でした。なつかしい…あのまぁるい優しい音。

聴かせてもらいました。コチ、・コチ・コチ…。
正確なリズムは求めていないのです、ここに
あるのは、響き。店主が昔にイギリスのバースで
購入された、ドイツ製です。

こんど何かいいことがあったら、欲しいなあ…と。
またそんな自分用ごほうび考えちゃって、と
身近な友人に笑われましたが、それだって
ひとつの希望。


2012年6月11日

ささめやゆきさん












GALLERY HOUSE maya」ふたつのギャラリーで
ささめやゆきさんの展覧会

井上ひさし作「箱根強羅ホテル」のポスターを
描かれたときは、台本もできていなければ、
まだコンセプトさえ決まっていなくて、与えられる
ヒントはひとつもなく、絵を描き始めたそうです。
このほかにも舞台のポスターの絵が、たくさん。

みんな62歳という、同級生を描かれた絵も
たのしかったです。同級生に、絵の上手なひとは
いなかったかな…とおともだちの顔を思い出した
ひとときでした。

鎌倉にお住まいのささめやさんには、
詩とファンタジー」でも、たびたび
イラストレーションをお願いしています。

きのう、描きあげたからねって。詩がとても
具体的だから、抽象の絵を描いたよと、
次号を、ぜひたのしみにしていてください。

オープニングには伺えませんでしたが、
ゆっくりお話ができるのは、きょうのような
平日の午後かもしれません。

2012年6月7日

網中いづるさん









銀座の「ギャラリー悠玄」での
アラベスクⅣ「少女めぐり」の画家たち』展。

地下、1階、2階に網中いづるさん、宇野亜喜良さん、
味戸ケイコさんのそれぞれの少女が待っています。

網中さんの少女は、おとなっぽさが魅力的。
少女の立ち姿、座り方、そして動きがとても
美しいのです。色彩も淡く明るい、軽やかな
1枚もあれば、こってりした色を背景に、少女が
その色に負けずに、存在をアピールしている1枚も。

「非売」と記されたものもあり、「これは、
家族がとても気に入ってて」と網中さん。

最近の網中さんは、東京のご自宅と、
大分・別府のご実家を行き来しているそうです。
別府で過ごされる日数の方が多く、ご両親様と、
温泉の毎日でゆったりと。

網中さんの絵をみていると、絵の具を溶かして、
たっぷり筆に含ませて、おおらかに
絵を描きたくなります。「教えてあげる…
このへんのお花なら、だいじょうぶ」と、
すっかりその気になったわたしは、教えて
いただこうなんて思うのでした。

2012年6月6日

牛窪恵さん








牛窪恵さんの「[ゆるオタ君]と結婚しよう!」の
出版のお祝いパーティーに。

オタクの気は、きっとないであろう高校時代の
同級生のお誘いで。最近の彼は、仕事オタク
かもしれません。仕事に熱心なのは、あたりまえ
ですが、それでも…。

いろんなゆるオタ君が、会場にはそろっていました。
なにか極めることがあって、すてきでした、
ゆるオタ君たち。AKBオタクだったり、ゲームオタク
だったり、趣味ですものね。

わたしは、まったくオタクじゃないよねぇ…と
帰ってきておともだちに訊いたら、
詩歌オタクですって、そうかも。そのおともだちも、
じぶんでアニメオタクだと、告白してました。

世の中の流れを、的確に分析してお話しして
くださる牛窪さん、いろんな世代の特徴を、
パッと言い当てられて、やっぱりそれは
自分のことだと思とき、うつむきたくなりました。

写真は牛窪恵さんと、その高校時代の同級生。

2012年6月5日

D's Exhibition








宇野亜喜良さんにみせていただいた「D PRESS」
作家であり、イラストレーターであり、
アーティストであるD[di:]さんについて、
作品やグッズの紹介も掲載されています。

宇野さんの案内で、表参道の「hpgrp GALLERY」での
D[di:]さんの展覧会 「おそらく、永遠に片思い」へ。
頭の中の地図で歩いて行く宇野さん、方向音痴の
わたしは、この辺りかなぁ…と訊かれても
さっぱりわかりません。雷・雨に降られながら、
はじめてのギャラリーにたどりつきました。

イラストレーターでも、ここまで広く展開している
ひとは、めずらしいと、宇野さんがおっしゃるの
ですから、それはそれは。

絵に添えられたD[di:]さんのことばは、"詩"です。
ぜひ、彼女の世界をみにいらしてくださいね。

今月24日まで「LUMINE 新宿店」のエレベーター内が、
D[di:]さんの絵で埋め尽くされているようです。
ぜひそちらへも。

写真は、D[di:]さんの作品の前での宇野さん。

2012年6月4日

イラストレーションコンクール選考会


コンクール審査のまえに、山口はるみさんが、
現在連載中の新聞小説、林真理子さんの
「正妻」慶喜と美賀子』の挿絵、現在までの
絵をすべてみせてくださいました。

カラーです、わぁっとおもうほどあざやかな色。
新聞は、真っ白い紙でないから、あざやかすぎる
くらいでも、印刷されると落ち着いた色に
なるそうです。

毎日、毎日、時にはまとめて何日分か、と
いうこともあるそうですが、たいへんな
お仕事です、体調管理もたいへんです。

詩とファンタジー」のイラストレーション
審査は、宇野亜喜良さん、山口はるみさん、
おふたりの先生におねがいしています。

「このひとは、はるみさんに憧れて応募して
きたんじゃないかな」と一枚の絵をみながら、
宇野さんがおっしゃったり。「宇野さん、
この絵のいいところを、教えてください」と
山口さんがおっしゃったりしながら、審査は
すすみます。「ここで、トリミングしたら
もっといいのに」などなど。

「今回も、なかなかいい作品が残りましたね」
と最後には、誌面に掲載できる9作品が
決まります。

こちらのコンクール、年間賞・大賞受賞者には
賞金30万円が、やなせたかし先生より、
贈られます。そして「詩とファンタジー」の
誌面で絵を描いていただくよう、ささやかですが、
デビューの場を提供いたします。

ぜひ、次号もご応募くだいね。

2012年6月1日

話(「テレビ」)

我が家には、テレビがありません。もう
ずーっとずーっと、ないのですが、
説明するのがたいへん。

持っていない理由があればわかりやすいの
ですが、とくべつな理由が、ないのです。
ないものはない、それだけです。買う
きっかけがなかっただけ、なんです。

昨日も、おともだちから電話がありました。
「いま○○さんがテレビに出ているから、見て!」
「テレビないもん」
「あっ、そうだったそうだった、ごめんごめん」
わたしも、謝りたくなます、ごめんねーって。

よく生きていかれるねぇ…そんな大げさなことも
云われるのですが、わたしも娘もまぁなんとか。
コマーシャルの商品のことが話題になると、
ポカーンとしてしまいますが、まわりのひとの
説明で、なんとかなっています。

娘の歌集テレビで紹介されたときは、
実況中継のように、丁寧なメールを
くださった方もいらっしゃいましたし、
みなさんの優しさに感謝です。

テレビがなくても、新聞のテレビ番組欄は、
たのしくみています。